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夏の嵐

夏の嵐
価格:¥ 5,040
出演:アリダ・ヴァッリ,ファーリー・グレンジャー,マッシモ・ジロッティ
おすすめ度
戦争映画としての「夏の嵐」
年下の美青年に身を焦がす少々とうのたち始めた人妻(伯爵夫人!)の悲劇をビスコンティ好みの美男美女によって贅沢に演出した初期の傑作、などという説明無用なまさに、映画ファン、迷わず見よ!と断定できる20世紀の古典、

オペラ的演出の素晴らしさはいまさら述べるまでもないので、本作が戦争映画としてもっと評価され濃い戦争映画ファンこそ話題にすべき素晴らしさであることを少々、

撮影時、ビスコンティは47歳、おそらく生涯でもっとも体力が充実していた時期とおもわれ、初期の習作時代からモブ・シーン演出で見せていた冴えが本作の戦争シーンではまさに爆発しています、

まるでおもちゃの兵隊のようなカラフルな軍服の大軍が画面を埋め尽くし行軍し戦闘するシーンの素晴らしさは溜息が出るばかり、迷彩服発明と国民皆兵制度が戦争そのものを変えてしまう直前の時代ならではのスペクタクルです、こんな軍服を着ている時代の脱走兵なら問答無用で処分されても仕方ないとラスト・シーンがオープニングから暗示されてもいるわけです、

とりわけ中盤の丘陵地帯での戦闘シーン、手前にオーストラリア軍、遠景にイタリア軍が対峙しいっせいに砲撃が始まってからの数分は評者の知る限りアクション映画の最高のもの、1954年制作の本作はとうぜんのことCGなど使ってません、CG以前のスピルバーグ作品(太陽の帝国など)と比較しても本作の描写は圧倒的なものです、

おそらく制作側の意図でしょう、2時間内に編集するためにかなり戦争シーンをカットしてしまったことが本編から容易に想像できます、できうるならば未収録内容をあわせて収録したボックスが発売されれば私、再度購入してもいい、

本作が密通劇であることからサスペンス作家としてのビスコンティ演出の魅力を楽しめることももちろんです、再見して感心したのが戦時による混乱が生じながらも大貴族家を舞台にしたため、領地を管理する当主(伯爵)、管理の実務を担当する使用人と農民たち、そして戦争する軍人たち、の三者がワン・カットで見事に表現されるシーンの多さ、とりわけ混乱する軍人達の隣でもくもくと収穫した小麦を脱穀しているシーンにはさすがに本物の貴族生活の真実を知るビスコンティならではの強みとおもいます、

自分の好みでは星3つなんだよなぁ
製作会社であるルックス社が倒産するほど金を使い、ヴィスコンティを国際的に有
名にし、かつ遠く離れた日本では若き蓮實重彦氏がこの映画の日本における低評価
に切歯扼腕した作品。
内容は譬えて言うならスタンダールの世界。
今の日本に住む人間からは想像もできないが、この映画は製作当時、検閲を恐れた
プロデューサーから自己規制がかかるとともに政府の検閲も受けたとか。イタリア
統一戦争についてのヴィスコンティの描き方について、右翼からも左翼からも激し
く非難されたらしい。またとりわけネオリアリズモ放棄としても非難されてしまっ
た。

「カミロ・ボイトの小説の映画化である「夏の嵐」での私の考え方は、イタリアの
歴史の全体的な絵画を作り出すことにあった。そしてその上に、ある階級の代表者
であるセルピエリ伯爵婦人(リヴィア)の個人的な情事を際立たせたかった。」
 〜ヴィスコンティ〜

オペラとヴィスコンティ
オープニングにいきなりオペラ…という演出はマリア・カラスの舞台をはじめ、数々の名舞台を演出したルキノ・ヴィスコンティならではです。しかもヴェルディの『トロヴァトーレ』の中で最も扇動的で狂気さえ感じられる『恐ろしい炎が』と物悲しいリズムながら狂おしいばかりの官能性を感じる『恋はばら色のつばさに乗って』という二つの名曲を物語のキーにした演出はなんともドラマチックで危険な香りさえ漂います。まさしく映画の世界に観る者を引き込む名演出です。
イタリア映画界の巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督による激情みなぎる恋愛悲劇『夏の嵐』。舞台は19世紀オーストリア支配下のヴェニス。そこで運命的に出会った伯爵夫人(アリダ・ヴァリ)と青年将校(ファーリー・グレンジャー)の激しい愛と別れを重厚に描いていく。 ヴィスコンティ監督は、ここでは古典悲劇スタイルとリアリズムを両立させ、さらに彼の作品ならではの豪華絢爛たる美術や舞台設定の数々で観る者を魅了する。さらには邦題さながら嵐のような情熱を体現するヒロイン、アリダ・ヴァリの圧倒的な存在感は特筆もの。戦争を背景に、愛と官能の炎を燃えたぎらせ、やがては追い詰められていく彼女の迫真の演技は、本作の優れたスタッフ・ワークと見事に対峙しているのだ。(的田也寸志)

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