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男はつらいよ 花も嵐も寅次郎〈シリーズ第30作〉

男はつらいよ 花も嵐も寅次郎〈シリーズ第30作〉
価格:¥ 3,990
出演:渥美清,田中裕子,倍賞千恵子,沢田研二
おすすめ度
華麗な田中裕子
 この映画に託した山田洋次のメッセージは、結婚を躊躇する適齢期を過ぎた女性たちに対する「愛情を確かめたら、結婚に踏み込め」というものだ。 田中が演じる螢子が沢田が演じる三郎との付き合いの悩みを寅さんに打ち明けるときに、よけいな世間知を持たないと言う意味で純粋な寅さんが「惚れ合っているんだろ、それじゃ幸せなんだろ」と、螢子にいう。妹の桜が「結婚て女にとってもっと現実的なものなのよ。お兄ちゃんには分からないは、経験がないんだから」と寅に言うと、怒って「どうせ俺にはわからないよ」と、すねて二階に上がって行く。螢子が「寅さんに叱られちゃった」と言って引き取る場面がプロポーズの前に設定されていて、山田監督のメッセージを巧みに導入している。 私が論じたいのは田中裕子の魅力である。「湯の平」温泉での寅さんとの出会い、そこには平凡なOL螢子を演じる田中が実に新鮮である。山田洋次の映画がそうであるように、日常性の中で性的な部分は極力抑えられている。田中が演じるのは休暇の九州旅行を楽しんでいる庶民的な可愛い女性の姿である。実に現実的に真実味を込めて演じている。湯の平の旅館や周辺の風物を背景に実にありそうな旅姿を演じる力は、その演技の単純さが逆に強く田中の俳優としての成熟を示している。 田中の持つ空間感覚は、平均的な日本人のそれよりも少し狭く人間臭い。懐に一気に飛び込んでしまう。それは相手をかすかに当惑させる。それを救うのがあの田中特有の微笑なのだ。この感覚は演じられているものではなく、田中裕子特有のものだ。このような女優を持った我々は幸福だ。 例を挙げる。螢子が三郎と付き合い始め、そのせいで縁談が断られ、家族から問いつめられる。その時、三郎との仲を心配した寅さんが電話をかけてくる。柴又に向かう螢子。駅で出迎える寅。寅に気付いて手を振る螢子。螢子は寅さんの右手に両腕を絡める。胸に抱き込む感じである。その時、渥美清が一瞬、戸惑う。「寅さん」ではなく、俳優渥美清が!そして、割れんばかりの螢子の微笑。田中裕子の魅力が遺憾なく発揮される場面だ。この場面だけでこの映画は見る価値がある。寅と螢子は柴又の参道を歩き、午前様に出会うが、寅さんは螢子の手を握っている。寅さんは当惑して「深く反省しています」という。事情が飲み込めず当惑する螢子の表情は、直前の太陽のような破顔と対照的で現実感があると同時に、美しい。 渥美清をもかすかに当惑させる微妙な距離感覚は、それに伴う魔法のような微笑とともに、「寅さんシリーズ」の中にも見事の生かされている。

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