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オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (角川スニーカー文庫 200-4)

オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (角川スニーカー文庫 200-4)
価格:¥ 680
冲方 丁(著),白亜 右月(イラスト)
おすすめ度
混沌と苦闘、そして共闘
 空港で例によってキャンペーン任務に就いていた涼月たちですが、そこへ旅客機が占拠されたというニュースが入ります。  他の治安部隊や軍と角突き合わせながらも、涼月たちは旅客機に突入して首謀者のパトリックを捕らえますが、彼を空港内留置所で尋問している最中、中国の戦闘機が亡命目的でオーストリア領空を侵犯して空港に着陸、更には中国の暗殺部隊とアラブ人テロリスト集団が現れて、空港内は血と爆発と混沌のるつぼと化します。事態の悪化はなお止まらず、テロリストの中に“レベル3”の特甲児童がいたものですから、底まで沈んでも止まって浮かび上がるどころか二重底、三重底という有様です。  今回は先だって出版された「スプライトシュピーゲルIV テンペスト」とストーリーがリンクしているのは、先日のこちらの記事でも書きましたが、涼月の側は中国の戦闘機に乗っていた女パイロットが持っていた携帯電話を通して鳳と連絡を取り合うことになります。鳳との会話で涼月が相手を『あたくし様』などと呼び、お高く止まっていると腹を立てるのは予想が付いてましたが、劣等感まで抱くとは予想外でした。それでも最後には陽炎と夕霧を向こうに送って共闘させるほどに鳳を信用するようになりますが、陽炎が涼月以上に鳳を賞賛するのにはカチンと来たようで。まあ鳳の側も乙と雛が涼月をベタ褒めしているからお互い様と言えばお互い様ですが(笑)。  あと共闘と言えば、「スプライトシュピーゲル」で鳳がレイバースと一緒に証人殺しの犯人を捜してますが、こちらでは行きがかり上ながら実はCIAのエージェントであるパトリックが涼月と共闘しています。はっきりと明言してはいませんが台詞の中にレイバースとの関係を臭わせる箇所があり、完結へ向かっているらしいシリーズで彼らがこれから涼月たち、そして鳳たちとどう関わっていくのか見物ですね。
B面
今回は多分こちらがB面で「スプライトシュピーゲルIV」がA面。理由はスプライト側のレビューに書きましたが、スプライト側を読んだ後でこちら側を読むと、正に一つの事件の両サイドとして同時進行する物語を一気に楽しむことが出来ます。後書の脱稿時期を見ると本来はこちらが先に上がっていたようですが、発売日では向こうが先行する形になったのも、或いは意図的に調整したのかも知れません。尤も、本書から先に読んだら読んだで別の見え方があるかも知れないので、それはそれで是非感想を知りたいものですが。

MSSとMPB、二つの小隊員たちの違いや類似など、今までになく対比的に描かれています。両方を読了したあと、今度は両巻を並べて対応箇所を照合し始めてしまいました。これがまた大変面白い。書く側でもそういう読まれ方を意識してやってるんでしょうね。

逆に若干残念だったのはオイレン側の大隊長や副官の描写が今回は薄かったこと。そろそろ物語自体が終盤に入るようですが、次巻では是非フォローを望みたいところです。

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