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Devil May Cry (角川スニーカー文庫)
後池田 真也(著)
おすすめ度
ダンテの愛銃エボニー&アイボリーに刻印された「トニー・レッドグレイブ」の名の謎解き、名を隠し再起の時を待つという英雄譚のお約束の踏襲等、細かな仕込みも魅力的なものばかりでした。
DMC3発売前には田中プロデューサーが「今回は国内でだけ発表されていた神谷著の小説(これは誤りで、同氏は監修)をベースにするから!」と海外インタビューでまで話題にもしていた、つまり一目置かれていた一冊です。DMC3という違う時間軸ができてしまった今でも、なお色あせる事のないしっかりとした作品と言えるでしょう。
Devil May Cryの時間軸としては、ゲームを3・1・2とすると3より前の話になります。
この作品でダンテの愛銃エイボニー・アイボニーが出来るまでの過程がわかります。
しかし、原作ゲーム1・2・3をプレイした後にこの作品を読むと所々で矛盾があります。
その矛盾で★4つです。
下記の人はノリや台詞がB級映画っぽいと言っておりますが、
そこがイイんです!
ダンテと包帯男、ガンスミスのばあさん、少女と落穂拾いのおっちゃんが
繰り広げるドラマが最高に泣けます。
ダークでバイオレンスな雰囲気もDMCの世界にあっています。
設定が実際のゲームと少し違いますが、逆にそこからスタッフさんたちがどうやってゲームを面白くするのかという試行錯誤の過程が見られて面白いと思います。
ゲームであったような派手なアクションは小説というメディアの都合上、完全には表現し切れていませんが、ダークな雰囲気を強調することでカヴァーできています。
一読する価値は絶対にあります。
ゲームでは表現しきれない主人公の日常の顔や意外な側面などの細かい人物描写を小説で読むことができるわけですが、これは小説化の醍醐味の一つですよね。特にアクションゲームではそういった面をゲーム中では殆ど見ることがかなわないわけですし。それを期待して小説を買う人も少なくないんじゃないでしょうか。
この小説でも主人公の「日常の顔」やら「意外な側面」やらのエピソードが多くでてくるのですが、そのひとつひとつがどうも陳腐…。どのエピソードも設定もB級映画やら漫画やらでよく見かけるようなもので残念でした。たとえ土台が定番でも表現が独創的であったり深く掘り下げられたりしていれば十分引き込まれますが、全体的になんともあっさりしていて退屈でした。
あと、個人的にはキザ(挿絵とかも)で感傷的な印象を受けました。DMCはもっとドライで豪快でタフなイメージなのですが…。
余談ですが、最近始まったアニメはゲームよりも小説のイメージに近いですね。(別にストロベリーサンデーが出てくることを指してる訳ではないですよ^^;)

公式の過去話であるところのDMC3が発売された今となっては、主にバージルの扱いに設定の矛盾が感じられないでもないですが、ノリと勢いは本編に勝るとも劣らないレベルに達しているのでこれはこれで良いんじゃないかなと。
