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Devil May Cry〈2〉 (角川スニーカー文庫)
価格:¥ 580
後池田 真也(著)
おすすめ度
後池田 真也(著)
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これこそダンテ!
ゲームの2作目ではどこかへ消え失せてしまっていた、ダンテの荒っぽく余裕しゃくしゃくで生意気だけど憎めない、あの態度が見事にカムバック。こんなダンテに会いたかったんだ!といった感じ。読みながら思わず「これ、名言集作れる!」と唸ってしまった。ゲーム一作目をやった人には懐かしい人たちも登場し、ファンとしてはうれしい。ストーリー展開も起伏が激しく飽きないし、よく練られていると思いました。


ノベライズとしては失敗。
ノベライゼーションのおもしろさの一つはは、作者がある程度の知名度をもったキャラクターたちをいかに料理するか、というところにあると思うんだが、今回のDMC2にそのおもしろさはなかった。前作小説のダンテが垣間見せた(作者の解釈による)人間らしさはかなり評価できていたんだけど、今回のダンテにはそれがない。あっても普段は情けない男、という印象にしかならない。そして一番納得がいかないのがトリッシュの扱い方。ゲーム1作目のトリッシュが好きだっただけに、新ヒロインを作ってまで彼女をああする必要があったのか。このあたりはゲームの1作目と2作目をつなげるノベライズとしての制約があったんだろうけど、あれはあんまりだ。自分は彼女の扱い方がわかった途端に読む気をなくしてしまった。最後に、ノベライズのDMCにアクション性は求めていなかっただけに(アクションが欲しいのならゲームをする)、登場キャラ全員の薄さが目立ってしょうがない。作者オリジナルでも良い、アクションの向こうにある人間模様が読みたかったのに。このDMCノベライズは自分の読みたいDMCノベライズではなかったというのが読後の印象なのはノベライズとして失敗なんじゃないだろうか。


読みたいDMCではなかった
これはまあ、原作であるPS2のDMC2にも問題があったんだとは思うんだけど、ノベライズとしては失敗の部類にはいるんじゃないかと思う。とにかくキャラが薄い。著者の前作と比べてもかなり薄い。ダンテの成長のさせかたにも納得がいかない。前作小説もではダンテが垣間見せる「人間らしさ」が作者の見解をもとに描写されていて、そこはとても評価が出来たんだけど、本作のダンテにはそれがない。ノベライゼーションのおもしろさは、作者がいかに既知キャラを料理するかだと思うんだけど、今回はそこがなかったのでおもしろさは半減した。そして一番納得がいかないのがゲーム1作目に出てくるトリッシュの扱い方。彼女をああいう風にしてまで新女性キャラを出す必要があるのかどうか、ゲームのトリッシュが好きだっただけにものすごく残念だった。これは2での扱い方がそうだから、そうせざるを得なかったのかもしれないが、彼女のファンだった自分としては彼女の扱い方がわかった時点で読む気をなくした。DMC2のノベライゼーションだから制約も多かったのかもしれないけど、もうちょっと前作やゲームDMC1を省みた小説が読みたかったなあ。


ヒロインはどこまで必要か?
決して下手な作家ではないとは思う。本書はゲーム「Devil May Cry」と「Devil May Cry 2」の間の物語という位置ずけであり、双方をPlayしているユーザーには、それなりに擽りのある作品。「ダンテ」のキャラクターの立て方は前作に近く、結構魅力的な男に仕上っていると思うし、ストーリーの展開も面白かったと思う。ただ、やはり前作同様展開があっさりし過ぎて「小説」として楽しむに至らないのだ。ゲームで例えれば最低限のフラグだけたてて先に進んでしまうようなストーリーと言えば解かっていただけるだろうか?カプコンの監修の為なのか、ページ制限のためか、作家自体の腕かは知らないが、「ダンテ」というキャラクターを動かし切っていない。考え様によっては本作品のエピソード1つで、ゲームが一つできると思うのだ。設定的には面白いことを考えているのに、使い切っていないのが、勿体無いと思う。また、これはゲームの「Devil May Cry 2」と共通して思うことなのだが、ヒロインは何処まで必用なのだろうか?ビジネス的に云々という話しがわからないわけではないのだが、下手に主人公と一緒に「闘えるヒロイン」を出さない方が話しが締まる気がしてならない。前作のギルバ(バージル)のようには描けていないだけに、どうして設定したのか理解に苦しむところがある。悪いとは思わないのだが、登場させたのであればそれなりに書き込まないと作品の質が下がる。

