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愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
価格:¥ 560
米澤 穂信(著)
おすすめ度
技術が無いとダメでした
『愚者のエンドロール』です。古典部シリーズの二作目ということになります。 前作の『氷菓』よりは随分ミステリー色が強くなりました。 あ、ミステリーといってはダメでしょうね。推理小説色が強くなったと言い換えましょう。 ほとんどのトリックは読者の誰でも考えつきそうなものばかりですが、出し方、順番、そして作品の中における主人公の立ち位置などを巧みに扱ったどんでん返しの連続は、上手くできていると思います。

主人公が周囲の人から才能を認められ、自分でもある程度認める、というよりは他者の意見を受け容れるという部分に成長のようなものも読みやすい文章で描かれ、青春ものといえばそうかもしれません。青春物というには、推理要素の方が強すぎる感じですが。

この作品の特徴は、殺人事件だけど、実際には人が死んでいない殺人事件であるところでしょうね。そういう設定にした、というところが最大のファインプレーかもしれません。

謎解きの面白さ♪
事件が起こったまでしか作られていない映画。密室の謎も犯人も不明。
しかも、脚本を書いていた少女からは何も聞き出せない。奉太郎たちは
さまざまな人たちから聞いた話をもとに、結末を推理していく。自分も
謎解きに参加しているようで、読んでいて楽しかった。起こった出来事を
検分し、そこから何を判断し、どう推理するのか?しだいに明らかに
なっていく真相。構成力がとてもいいと思った。読み手は、謎解きの
醍醐味を存分に味わうことができる。そして、奉太郎の出した結論は・・・?
最後の最後に待っていたものに、思わず「うーん。」とうなってしまった。
思い返せば、伏線はきちんとあったのだ。ラストを読んで、作品の最初に
書かれたことにも納得♪読後感もよく、満足できる作品だった。
まさに青春ミステリ
『古典部シリーズ』の2作目です.

前作同様,姿を見せない人物がストーリテラー的な位置づけで,
はじまりとおわり,それぞれうまくフォローされている印象です.

また,物語の性質上,ミステリの度合いが強くなっているようで,
無気力傾向から変わりつつある主人公が,積極的に解決に動くなど,
このあたりは,前作から読んでいれば,さらに楽しめるかと思います.

ただ,見どころは主人公の積極さによってもたらされる中盤以降で,
その結果による自己嫌悪や葛藤,そこから強気に開き直る態度などは,
なんとも言えない青くささがあり,まさに青春ミステリといったところ.

ミステリとしてはちょっと粗いところがあったように思いますし,
最後の最後で,事件の真相を語るのにある『ツール』を使ったのは,
ちょっとずるくも感じるのですが,今回の経験が主人公に与える影響,
未だに姿を見せないある人物のことなど,このあとも気になる作品です.

失われた「結末」を求めて
〈古典部〉シリーズの2作目。

バークリー『毒入りチョコレート事件』の本歌取りが目指された本作は、
未完成の自主制作映画の「結末」を登場人物たちがそれぞれに推理し、
都合五つの「仮説」が示されるという〈多重解決もの〉となっています。

しかし、最終的に奉太郎が直面するのは……。


前作『氷菓』よりも「ミステリ」という
ジャンル自体への言及性が高く、米澤穂信氏の
〈ミステリ観〉の幾ばくかは、本作を読むことで
窺うことができるように感じました。


また、映画がモチーフである本作では、
章立てにおいても、本篇の前後に
「アバンタイトル」と「エンドロール」が
設けられ、一種の枠物語的構成になっています。


そこには、本篇の登場人物による
ハンドルネームでのチャットの
ログが収録されているのですが、
エンドロールまで読み終え、それぞれの
ハンドルネームが誰を指すのかを推測し、
もう一度アバンタイトルを読んだ時、
はじめて事の真相が浮かび上がる
仕組みになっています。

すべては、作中の裏「プロデューサー兼監督」
の予定通りだったということで…。


見事に翻弄される奉太郎が憐れでもありますが、
こうした経験こそ、今の彼に不可欠なものなのでしょう。


次回作での彼の成長ぶりに期待です。

古典部シリーズ第二弾
 古典部シリーズの第二作目です。
 「やらなくていいことはやらない。やらなければいけないことなら手短に」がモットーの省エネ主義の折木奉太郎を主人公としたシリーズです。
 前作で、千反田えるをはじめとして、中学からの腐れ縁の友人、そしてその友人に想いを寄せる女の子と古典部メンバー4人が勢揃いしたこのシリーズ、今回は学園祭にビデオ映画を作ろうとしている二年F組の生徒からとある相談が持ち込まれるところから幕を開けます。
 その相談とは、彼らが撮ろうとしていた映画の脚本家が心労で倒れてしまい、シナリオの続きがわからなくて撮影が中断している。しかし、途中まで完成している映画をみれば、その「ミステリー」と仮称された映画の中の真犯人は本当は分かるはずなのだといいます。勿論彼らには分からないので、依頼がきたわけですが、彼らは古典部のメンバーに、そのシナリオの肝となる真犯人と犯行トリックはどういうものかF組の先輩たちの推理のどれが本当のものかチェックして欲しいというのでした。「女帝」と渾名される氷の女王のような先輩に上手くのせられ、千反田の「気になります」の一言で推理を始めた奉太郎。果たして、本当のシナリオに沿って、映画内の真犯人を見つけられるのか。
 ということで、今回の古典部は、ミステリー映画の謎解きというミステリー好きにはたまらないネタをもってきました。
 彼らが、作中の映画の映像や関係者の意見を聞きながらそれぞれの推理を討論しながら進む姿はまさに探偵もののようだし、推理の中で繰り広げられるメタ推理の話もミステリ好きにはたまらないですね。ノックスの十戒だとか懐かしい言葉も出てくるし、楽しく読めました。加えて、その中で彼ら高校生がいろいろな意味で成長していく姿もきっちり描いていて、青春小説としてもきちんと成立します。また、その上で、単純に話が終わらないように最後にひねりをきちんと加えてくるあたり、米澤さんは本当にうまい作家さんだなぁと思います。
 文句なくお勧めレベルです。

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