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オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)(角川スニーカー文庫 200-1)
冲方 丁(著),白亜 右月(イラスト)
おすすめ度

三人娘の中でも一番純粋純情で熱血肌の黒犬・涼月、
狙撃の名手にしてクール&ニヒルな赤犬・陽炎、
いつもお気楽極楽な鼻歌を絶やさないムードメイカーの白犬・夕霧。
拳が唸り銃弾飛び交いワイヤー舞う過激なアクションとキャラクター同士のユーモラスな掛け合い(副長いびり、もとい三者三様の副長いじりに注目)が絶妙のテンポを生み最後まで読者をぐいぐい引き付けて離さない。
犯罪が多発し悪党どもが闊歩し策謀が蠢く壊れかけの街で、絶望と背中合わせになりながらも仲間とともに死線をくぐりぬけていく少女たちの苛烈にして鮮烈な生き様に惹き込まれる。
不安定な心の揺れを抱えた少女たちをサポートする大人たちもとても魅力的に描かれている。
陽炎の「この人なんだかんだ言いつつ最後まで聞いてくれるんだな」の雑感が端的に表しているように、やりたい放題の三人娘に振り回され時に多大な損害を被りながらも、胸の内では彼女らの身を真摯に案じ、部下が喪心した際は本名を呼んで叱咤する副長の人間臭さは絶品。
こんな上司がいたらいいなあ。最前線すぎるのはどうかと思うけど(笑)
「スクランブル」や「ヴェロシティ」が好きな方ならハマると思います。
言葉のキャパが少ないので表現が難しいですが、なんか脚本を読んでいるかのような書き方ですね(汗
この著者が元々こういった書き方なのか、あえてこうゆう書き方なのかは知りませんが、最初にこの本を読んだ方はまず文章に違和感を覚えると思います…
ただ、そんな人もこの文章に慣れてさえしまえば、しっかり楽しめるだけの内容でもあると思います♪
話としては要するに、近未来を舞台に、機械の手足を与えられた3人の少女達(主人公)が頻発するテロや、その背後に潜む敵と戦うというバイオレンスアクション物です
収録内容はちょっと長めの短編が3話
1話は"黒犬"涼月を、2話は"紅犬"陽炎を、3話は"白犬"夕霧をそれぞれストーリーの中心に据えて、各々の掘り下げも行われている構成です
さっきも言ったように文章でちょっと違和感を感じることはあるかと思いますが、内容はなかなか刺激があって面白かったと思います♪
しかし、それだけに敵味方を問わず登場人物の友情や恋、時には怒り、憎しみ、悲しみが強く読み取れ、感情移入が容易に出来ます。
特に主人公の一人である涼月の、世界の理不尽を知っていても自分ではどうにもならない現状をもどかしく思いながらも、ふてくされたり絶望したりせず、目の前で起こる事件に果敢に立ち向かい、未来に向かって邁進する様は、読んでいて勇気づけられます。
「なーんか世界とか救いてぇ──」
それらを踏まえて時たま涼月が呟く上の台詞を見ると、その中に色々な思いが詰まっているんだと分かります。

読んで最初に思った感想は、まるで某○ンスリンガーガールを未来的に、少女達の性格を少しひねくれさせたような作品だなァって感じでした。(舞台はイタリアとオーストリアと違いますが、彼女達の置かれた立場というか仕事?というか・・・)
今巻で収録は第壱話〜第参話まで
第壱話 Black in the street
ケルベロス小隊小隊長にして突撃手「黒犬」涼月・ディートリッヒ・シュルツを中心とした話
第二話 Red it be
小隊の狙撃手「紅犬」陽炎・サビーネ・クルツリンガーを中心とした話
第参話 Blowin in the White
小隊の遊撃手「白犬」夕霧・クニグンデ・モレンツを中心とした話
前述したよーに某○ンスリンガーガールをイメージしてしまう作品ですが、冲方先生の描くバイオレンスタッチでたまらなく面白い作品です。
しかしこれがもともと読み切り短編だったとは・・・
もう一つのシュピーゲルも読むとより楽しめます。