スニーカー文庫通販サイトTop >   >  イマジン秘蹟 2 (2) (角川スニーカー文庫 204-2)

イマジン秘蹟 2 (2) (角川スニーカー文庫 204-2)

イマジン秘蹟 2 (2) (角川スニーカー文庫 204-2)
価格:¥ 660
本田 透(著)
おすすめ度
ダメでもいい、ダメだからいい
普段ぼんやりしたあの人は実は伝説のナントカだった。 はかなげに見えて実は芯の強いヒロイン。 何の力も無い平凡な男の子がそういった人々と出会い、力に目覚め、最後は悪を倒す。

そういった「らしさ」とは真逆をいくのがこのシリーズの特徴といえるのではないだろうか。

 平凡を旨とする主人公の智弘はもとより、双子の姉、超人的能力を持つイマジンの面々、主人公と恋に落ちる女の子、その親友、智弘を除いて一見どれも物語の主役を務めそうな濃いキャラクターなのだが一枚剥げばみな心に弱さを持った、なんとなればダメ人間と言って差し支えない連中で、それだけに生々しく、沁みる。
 今回イマジン(+智弘)は「智弘の初恋」をきっかけに破滅寸前まで追い込まれる。別に悪の組織やらが出てくるわけでないのだが、純粋な恋心がどちらも追い詰めることになる。結末は少々苦いが読後感は悪くない。痛々しさを含めてああいいな、ダメ人間への視線の暖かさを感じるな、そう思える作品でした。

初恋の味は甘くて苦いと言うけれど
 前巻の事件以来、尾津智弘はイマジンの美少女三人組に執事として働かされるわ、変態扱いされるわ、その他色々と身体的精神的両面でイジられる日々を送っていました。
 そんなある日、同級生からいきなり渡された『果たし状』に指示され図書室に行ってみると、そこには片目に眼帯を付けて「猫の手」を翳している危ない神様ならぬ、車いすに乗った儚げな感じの美少女が待っていました。
 それから智弘は放課後イマジンの部室に向かう前に図書室へ行き、その少女──月見里真稀名と会うようになりますが、彼女と過ごす穏やかな時間は智弘にとってとても貴重な時間となり、これが初恋なのだろうかと自問したりします。
 ところが図書室で智弘と月見里がイマジンの三人組とばったり会ったのを境に、イマジンの部室に脅迫状が届いたり、自宅に脅迫FAXが送られて来るなどして、智弘の初恋物語は悲劇に向かって暴走していくことになります。
 今回は中盤からサイコな展開で物語が進みますが、前巻でもあった魔女症候群も絡んでますし、生半可な洞察力では予測できないだろう真相が用意されています。また、普段は智弘に罵詈雑言と暴力を浴びせてくるイマジンの三人組は、智弘に危機が迫ると慌てふためくのですが、なまじ素直に表に出さない所が可愛かったりしますし、智弘も物事を冷静と言うか冷めた目で見る性質があり、「体温が低い」と自分でも言ってますが、本当にどうしようもない不条理に対して憤る所など、それぞれの人間性を伺わせます。
 ただ、ネタバレを覚悟で書きますと、前回はまあハッピーエンドと言えなくもありませんでしたが、今回は決してハッピーエンドではありません。その点は覚悟して読んでください。

関連エントリー

スニーカー文庫通販サイトTop >   >  イマジン秘蹟 2 (2) (角川スニーカー文庫 204-2)

お気に入りに

  • My Yahoo!に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録
  • Add to Google
    • seo