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ムシウタ〈01〉夢みる蛍 (角川スニーカー文庫)
岩井 恭平(著)
おすすめ度

薬屋大助と”かっこう”のギャップをどうとるか。
大助と詩歌の恋愛模様をどうとるか。
立花利菜の立ち位置をどう判断するか。
読み手にかなりの部分を委ねたような作品だと感じた。
正義や救済といった言葉が霧散してしまうような内容、非現実の中の現実。
生きてさえいれば ― まさに答えのでない永遠の課題に取り組む作品。
著者がどういった答えを導き出すのか、今後にとても興味がもてる。
好き嫌いがはっきりしそうな内容だから、強く人に薦めようとは思わない作品。
イラストが気に入るか、あらすじが気になる人は買ってみるのも面白いかもしれない。
要するに、命を削って力に変える「こんな力欲しくなかった」タイプのアレ。
虫である必然性があまりない、というか、意図的に描写が省かれている気がする。
超能力を使うと寿命が減る、というのは大昔から使われている手法だし
別段、新しい切り口で書いているわけでもないので、色々と読み込んでいる人には目新しくはない。
それでも、命の危機に晒された少年少女が心情を揺らす描写は細かく書かれている。
全員うつ病なんじゃないの、と思うくらい、それぞれが悩みまくる。
これを良い描写とするか、いや弱々しすぎてイラつく、とするかは個人の趣味の問題だと思う。
最後にどんでん返しもあるので、楽しめる人にはかなりヒットするはず。
イラストが大変美しい。特に彩色が。
設定上も動きがあったほうが映えると思うので、アニメ化には期待してます。

"虫憑き"であるがゆえに不幸なのか、"虫憑き"になったがために不幸なのか。登場する少年・少女は自らの居場所を求め、戦い、傷つけあいます。異端となった娘と家族、身を寄せ合う少女たちなど、"虫"がなければ、現代社会の問題にかなり似てますね。大助と詩歌、詩歌と利菜の惹かれ合い方が強いところに結構違和感がありますが、設定等とても面白いです。