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オーラバトラー戦記〈8〉マシン増殖 (角川スニーカー文庫)
価格:¥ 650
富野 由悠季(著)
おすすめ度
富野 由悠季(著)
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富野、勢い余って自らコケる
とりあえずこの作品が科学を悪者にしたいというスタンスのものであり、そのために集めら
れるだけ“根拠”を集めて並べ立てているものであることはわかった。しかしこの八巻はかな
りナンセンスで失笑せざるを得ないところが多い。
冒頭のジャコバ・ザ・ハット(笑)との会談などは所詮文系的な観念論で生命の存在を議論して
いるに過ぎず、人間の生み出した哲学や思想だけを武器に世に言う“神の創造物”たる生命の
謎を考えるのは小学生の教材で司法試験に挑むほどに無謀も甚だしい。そして特に『道具の発
明から人類は破滅の道を歩んできた』のくだりはすさまじかった。道具を作ることは人間の大
きな特徴であるが、それまで否定して一体何を言いたいのか?何でもかんでも科学にこじつけ
て批判すればいいというものでもなかろうに。
さらにその後の山小屋での城毅の講義もつい笑ってしまう。これを読めばあたかも科学がヒ
トの思考を停滞させ合理主義を生み出したように取れるが、実際は合理主義と自然征服論は近
代哲学の大きな柱であり、デカルトやベーコンといった哲学者らによって生み出されたもので
ある。科学はそれに基づいて大きく発展したかも知れないが、富野は科学が合理主義を生み出
したものだと勘違いをしているのだろうか。(そういえばこの作者、ヴァイキングに対する無知
と偏見・蔑視も凄かったっけ)
そしてこの城毅、パソコンなんか持ち込んで何するつもりなんだろう?CAD等を使っての戦術
立案や機体設計をしている場面はなかったし、科学を批判しながら最新科学の賜物であるパソ
コンを持ち込むところは理解に苦しむ。
言いたいことはわからないでもないが、とにかく科学を否定したいあまりにボロを出してし
まった感が強い。他の場面は割とよかったが冒頭で全てが終わってしまっているので星二つ。