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機動戦士ガンダムSEED DESTINY(4) 示される世界 (角川スニーカー文庫)
矢立 肇(著),富野 由悠季(著),後藤 リウ(著)
おすすめ度
【印象に残った言葉】
「そしてあなたは、たしかに戦士なのかもしれませんが――アスランでしょう?」(400頁)
小説とはTVの説明書ではない、1つの作品です。TV版と全く違うSTORYになってもいいものだと思います。説明不足、描写不足などが理由で、補完されなければ納得できないようなTV版は根本的におかしいのですが、その補完を小説というメディアを使ってしまう作り手側はいかがなものかなと思いますし、それを求め、評価してしまう読者の方にも疑問に感じます。

だが、その結果ステラは死んでしまいます。まあ、キラが助けなかったらシンもインパルスごと灰になってた所でしたし・・・。
アニメ版と比べての追加点
・アスラン脱走の際に、キサカの行動が具体化して描かれた点
・ヘブンズベース戦でスティング撃破時に記憶が戻り気味な部分が描かれた点
etcです!!
アニメ版だけで分かりづらかった点等もあると思いますので、アニメ版見た後にじっくり読むのがベストです。

今回読んでいて強く思った事。そしてそれはよく他の場所でも語られる事でもあるのですが、
―――――主人公は誰だったのか?
私の私的な会見ですがSEED DESTINYはアスランが主人公という見方が成立するのではないか?と私は思います。
キラシン共に自分の信念の元に戦う中、物語中盤まで彼だけがその信念の拠り所がハッキリしませんでした。
今回のお話でアスランは、何も出来ないでザフトを追われて、無関係だったメイリンを巻き込み、自分と意見が合わず仲違いした仲間に介抱されます。
カッコ悪い事この上ないです。
ただ、不思議と好感を持ってしまいました。
アスランは割りと体裁を大切にするタイプだと私は思います。決して悪い意味ではありません。むしろ二人の主人公のように首相誘拐、捕虜解放する事が○な訳ではありませんし。多くの人がアスランは「理解のあるエリート」タイプだと思っていると思いますが、彼は読者の目線である「普通の人」の最たる人間なのかもしれません。
彼は何か一つの為に全てを捨てるという選択は取れません。正義だけが全てでは無いし体裁だけでもいけない。でもアスランが唯の「普通の人」に成り下がらないのは、戦う事に意味を見出せるからではないでしょうか?
デュランダルの望みである「機能する人間」の世界に賛同しなかった彼は、この作品のテーマである「DESTINY(運命)に従うことが幸せか」と言う問いの答えを示したキャラクターではないのでしょうか?
アニメと違いこの小説では設定、心情がわかりやすく描写されているのでアスランの考えの流れがよく掴むことが出来ます。ただその綿密な内容を満喫した直後に読んだせいか、後書が言い訳っぽく見えてしまい☆4にさせて頂きました。本編内容は十分☆5の価値があります。
最終巻に向けて加速。