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爽快感の追求（火浦ワールドの一端）

まず、残念なのはガルディーンの本篇を知らないと、この本の面白さが半減することです。ゆえに->本編も買い！となり、これで本編を理解していることを前提とします。勝手にします。で、火浦ワールドですが、本著作以外も読めばウナヅケルカトともうのですが（って、まだ買わせるか？！）、とっても、繊細な記述と擬態語見たいな破壊的な表現が織り交ぜられた、爽快さ（スピード感とは多分違います）を読者に感じさせる貴重な世界に我々は引き込まれます。この本では、表題作が典型例で、最後の展開が圧巻です。詳しくは書けないのですが、本作の主人公（ガルティーン本編では一瞬で死んでまう）が瀕死の姫を背負って、敵地に乗り込んで行き、一気にカタをつける所は、人によっては笑いであり、他者にとっては、一種のカタルシスを得るような気持ちよさ、さえ感じるでしょう。誤解を与えるかもしれませんが、火浦ワールドは現実と同様な不条理、悲喜劇的な不条理がごた混ぜを前提とし、その中でアガク人々の命の賛歌を、ある作品は喜劇、ある作品はハードボイルド、あるいはSFなどでツヅル稀で「遅筆な」日本人作家だと確信します。もし、著者が悲劇・スリラーなどを書かれると、凄い物になるとは思いますがきっとこの世界には現れないと思います。それは、著者の正義・道理に対する考えにより、許されざる者を作品に残すことはないでしょうから。