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裂けた岬―「ひかりごけ」事件の真相 (ノンフィクションブックス)
価格:¥ 1,386
合田 一道(著)
おすすめ度
合田 一道(著)
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着眼点はいいのだろうが,冗長過ぎ
戦時中,知床半島沖で船が座礁し,生き残った船長は,同僚の死肉を食べて生還した。
武田泰淳「ひかりごけ」のモチーフになった,有名な事件である。
実は,船長は,平成元年12月28日に心筋梗塞で死亡(76歳)するまで生きており,本書は,その船長に対するインタビューをまとめた本である。
「どこから食べた? あんた残酷な聞き方するねえ。どこからかって聞かれたってよくわからないよ。え? 検事さんの調書では内股のあたりの肉をそいで鍋で食べたってわしが答えている? そうかね,そういえばそんな気もするけどまるで記憶がないんだよ。」(72頁)
全編こんな緩々の感じで,船長の語りが続く。
船長は,コンブを拾ってきて,味噌汁にして飲むのだが,強度の便秘になるし,栄養価に乏しいからぼーっとしてくる。それが,肉を食べだしてからは,何日も経たないうちに意識がハッキリし,体力もついて歩けるようになり,便秘も治ったという。
貴重な記録ではるのだが,緩い語りをそのまま文章にしている点で,読んでいてどうにも冗長な感じを禁じえなかった。
それと,驚きは,事件を担当した検察事務官・保科衛なる人物が,被害者の骨など多数の関係写真や判決写しを個人的に所有しており,その写真が本書に掲載されていること。公務員が職務上関係した事件資料を個人的に所有したり,いわんやそれを第三者に提供したりというのは,許されることなのだろうか。
