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パリの夜―革命下の民衆 (岩波文庫)
価格:¥ 798
レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ(著)
おすすめ度
レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ(著)
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異色作家が描くパリの暗闇
仏の異色作家レチフは18世紀、大革命前後のパリの夜にうごめく民衆の姿を克明に記録、三部からなる大作として発表した。これはその抄訳だが、激動・変革の時代を大衆の視点から切り取った歴史的価値のある作品だ。
各編とも一話完結の肩の凝らない掌編で構成。第一部「パリの夜」は、革命前夜の旧体制下における市井の出来事を様々なテーマで綴る。「車責めの刑になった男」「女くず屋」「ばらばらにされた死体」「赤児を抱いた女乞食」……など、昼の華やかさから一転、夜になると浮浪者や泥酔者がさまよい、犯罪が多発する暗闇の街・パリをあぶりだす。特に下層階級の人びとの陰惨な暮らしぶりが印象的だ。
第二部「夜の週日」、第三部「パリの二十日夜」では、革命が勃発した1789年から93年までの大規模な社会変動を史実と虚構を交え、第一部とは趣の異なるトーンで語る。第二部は革命の発端となったバスティーユ牢獄襲撃など革命初期の出来事が中心。また、第三部では革命に酔いしれる民衆の姿や、国王ルイ16世の裁判や処刑場面を臨場感あふれるタッチで描出。さらにジロンドびいきのシャルロット・コルデーによるジャコバン派指導者マラーの暗殺場面や王妃マリー・アントワネットの処刑場面などを交え、歴史的革命の流れを市民の目で追う。
悪徳やエロスを追求し、サド、ラクロとともに「破廉恥三人組」と揶揄されるレチフだが、本作はそれとは無縁の正統的作品である。民衆を描くことが無意味とされた18世紀のフランス文学において、彼は〈民衆の観察者〉をいちはやく標榜して多彩な作品を残しており、本作でもその才能は十分証明されている。わが国ではほとんど無名の作家の全貌を知る上で他の作品の出版を望みたい。

もう一人のフーシェ
サド、ラクロらとともに「恥の三人組」と称されたレチフの小説。しか
し、彼は恥どころか18世紀フランスが生んだ偉大な(奇怪な)小説家の
一人である。翻訳は原著の抄訳だが、マルセイユ事件やアルクイユ事件
を素材にしたサドについての挿話はカットされていないし、十分に面白
い。この小説を読んでふと思ったのが、辻邦生作「フーシェ革命暦」。
そこで描かれているフィーシェ像が、パリの夜を徘徊するレチフとダブ
る。

し、彼は恥どころか18世紀フランスが生んだ偉大な(奇怪な)小説家の
一人である。翻訳は原著の抄訳だが、マルセイユ事件やアルクイユ事件
を素材にしたサドについての挿話はカットされていないし、十分に面白
い。この小説を読んでふと思ったのが、辻邦生作「フーシェ革命暦」。
そこで描かれているフィーシェ像が、パリの夜を徘徊するレチフとダブ
る。
