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彼らにシングルだけの一発屋の印象を抱いているならば

このCDを聞いてその認識をすぐに改めるべきだ。初期ベストの「Singles & More」の時期は、ポップ・マニアたる彼らがやりたいことだけをやったある意味「分からない奴は分からなくてもいい」という路線だったが、このVol.2収録の「HELLO,IT'S ME」「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」がビッグヒットしたことを受け大衆性とマニアックさを両立させようと悪戦苦闘してきた当時の彼らの足跡がそのまま記されている。その象徴が、「売れる曲」と「やりたい曲」のギャップに悩まされた末に産み出された問題作「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」だろう。音楽への愛情と、それゆえの混乱と、誰にでも分かるポップさと、そしてレコードマニアがニヤリとするマニアックさと。その全てがここにはある。

活動休止に入った1997年にリリースされたベスト盤のVol.2である。収録曲は5枚目のアルバム『LACK OF REASON』、6枚目の『Let me Roll it!』、7枚目の『DOUBT』の3枚の中から15曲選ばれている形になっているが、1～8曲目はシングルのリリース順になっているので、後期のシングルベスト＋αと考える方が正しいだろう。ジャパニーズ・マージービートの旗手としてリリースを続け、「REMEMBER」が大ヒット。その後の彼らの集大成であるとともに、音楽性の急速な進歩をうかがうことができる1枚といえよう。（末延仁人）