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不器用な夫婦

妻に冷たい態度をとる夫と、泣いてばかりの妻。すっかり伊右衛門の愛情は冷めているのかと思いきや、後半でそうではないと気付かされる。妻が不義をしているとそそのかされても「信じられん」と何度も言い、騙され斬ってしまった後には、「許してくれ」と謝る。また、不義の相手とされる岩の妹の夫に対しては、不義が事実ではないと知りつつ、幽霊を相手に「おのれ、不義者！」と刀を抜く。そんなにお互い好きなら夫は優しく妻は明るく努めればいいと思うけれど、なかなかそんなにうまくはいかないものなんでしょうか。いろんな夫婦があるんだなという、温かく良い作品です。田村高廣さん、美しいです。

新東宝スタッフの再度の「四谷怪談」

「四谷怪談」の最高の映画化は新東宝版（中川信夫監督）と決まっていますが、この作品では新東宝スタッフがテレビで再度四谷怪談の画像化に挑んでいます。田村高広の伊右衛門はぴったりのはまり役で非常によいのですが、弱気であり、すぐにお岩殺しを反省してしまいます。やはり伊右衛門は天知茂のように悪に徹し切ってくれないと困ります。それでも、星4つをつける価値はある作品です。